2016年は「VR元年」と言われ、VRを使った様々な施設や設備が市場を賑わせました。ゲームやアトラクションなど、エンターテインメント向けというイメージが強いVRですが、住宅業界にも既に進出しており、中でも、VRを使った住宅展示場が注目され始めています。
今回は、VRを使った住宅展示場の内容や、実際の商品でできることなどをご紹介します。
VRについて知っておこう
VRとは、バーチャルリアリティ(Virtual Reality)を略したもので、「仮想現実」とも呼ばれます。ヘッドセットなどの機器を装着すると、目の前に360度の3D映像が広がり、実際にその空間を動き回っているかのような体験ができます。
リアリティー性を重視するゲームや映画、アトラクション施設などと相性が良いVRですが、これらのエンターテインメントだけでなく、住宅分野でも活用されています。
VRの住宅展示場でできること
家づくりは、平面に描かれた設計図を立体の建物にする作業です。頭の中の完成イメージにより近づけるためには、より正確なシミュレーションが欠かせませんが、平面の間取り図は具体的にイメージしにくい箇所も多く、実際に家を建てて家具を置くまでは、使い心地を確かめることができません。
CGで作られた完成予想図などもありますが、色味や雰囲気を掴むことはできても、実際にそこにいる感覚を得ることは難しいものです。
そこで導入されたのが、VRで作られた住宅展示場です。
VR住宅展示場のメリット
仮想空間の中に作られた本物と同じ大きさの家は、歩いたり手を広げたりしながら、実際の広さを体験することができます。
また、建物の大きさだけでなく、家具を置いたときの状態も確認することができます。例えば、「キッチンをこの位置に接地すると、リビング全体に目が届かなくなる」「リビングの出入り口をここに置くと、玄関まで遠回りになってしまう」などの、建てるまではわからない箇所にも気づくことができます。
そのほか、その場でパソコンからデータを修正して自由に微調整できる点も、実際の建物では行えない、VR住宅展示場ならではのメリットと言えるでしょう。
VRモデルハウスの例
以下からは、住宅展示場のVR体験が行える商品をご紹介します。
「アーキトレンドゼロ」のバーチャルモデルハウス
【福井コンピュータアーキテクト公式HPより引用 http://archi.fukuicompu.co.jp 】
アーキトレンドゼロは、プレゼン機能に優れた建築ソフトです。従来製品でも3Dイメージの作成は可能ですが、「アーキトレンドVR」が新たに登場したことによって、バーチャルのモデルハウス体験が行えるようになりました。
ヘッドマウントを装着すると、視界が外の世界から遮断され、目の前には仮想のモデルハウスが登場します。ドアを開けたり部屋を移動したりすることはもちろん、机に手を置いたり、ドアノブに手をかけたりといった細かい動作にも対応。座ったり歩いたりしながら、自分の目線でモデルハウスの使い心地を感じ取ることができます。
価格はヘッドセット含めて約100万円と高額ですが、実際にモデルハウスを一棟建てる金額に比べるとはるかに安い費用で済むため、モデルハウスの敷地を確保できない中小工務店や、都心部など敷地が少ないエリアでの普及が期待されます。
ALTAの3Dモデルハウス
【コンピュータシステム研究所公式HPより引用 https://www.cstnet.co.jp 】
「ALTA」は、多くの工務店で使用されている定番の住宅プレゼンシステムです。こちらも「ALTA for VR」がリリースされ、シミュレーション機能が強化されました。
こちらは複数台のスクリーンとプロジェクターで作られた個室の中で、3D眼鏡を装着して体験するVRシステムです。建具や家具の色、またはそれぞれの配置の変更など、簡単な修正であればその場で対応できるため、より細かいシミュレーションも可能です。
ALTAは全国各地の工務店で利用されていますので、大手メーカーの大都市のショールームまで足を運ばずとも、より多くの人に体験のチャンスがあるかもしれませんね。
まとめ
実際にその空間にいるかのような体験ができるVRは、完成後のシミュレーションが重要な家づくりにおいて、建てた後の後悔を防ぐだけでなく、家づくりをより楽しくスムーズにしてくれることでしょう。
住宅内部の再現度の向上や、新たなサービスの登場など、これからさらに普及が進むVR住宅展示場の活性化に注目しましょう。